カンファレンス テーマ
& 主要トピックス

今こそ 次世代への備えを “The Next Now”
アジア太平洋地域で3回目の開催となる Retail’s Big Show Asia Pacific は、まさに新たな時代の幕開けを迎えようとしています。来場者の増加を反映して展示フロアを増設するだけでなく、この地域のあらゆる分野における多様なニーズと要望を一層意識するようになりました。現在の成功だけではなく、これからの未来を見据えて重要な基盤を築くことを目指しています。

未来への準備はいいですか?
アジア太平洋地域の中流層は、今後10年以内に35億人規模へと拡大する見込みで、協働によるイノベーションをはじめ、技術革新やアルゴリズムによる革新、体験価値の刷新など、今だかつてない可能性をもたらすと考えられています。大小を問わず、限界を押し広げ、世界における次世代の基盤を築きたいという意欲を持つ人々も増えており、未来の世界は、現在よりもさらに素晴らしいものとなっていくでしょう。

現時点での成功は未来への足掛かり
成長と協業の機会が豊富なアジア太平洋地域において、先進国、及び発展途上国の市場はどちらも、ターゲットとなる市場を問わず、優れたリテール体験を実現するために注力しています。ASEANにおけるモバイル端末での利便性を軸にしたZ世代主導の小売りの成長をはじめ、オーストラリア、ニュージーランド、インド、北アジアにおいて、伝統的な大手企業が世界のトップ企業に迫りつつあります。そんな今こそ、リテール企業の多くにとって絶好のタイミングなのです。

The Next Now「次世代へ備えよ」
このイベントで、未来の成功のカギをぜひ見つけてください。期間中に開催されるカンファレンスや、Innovators Showcaseエリアで展示される最先端のソリューションを体験することで、未来志向の戦略的な知見を得て、Expoフロアで皆様をお待ちしている革新的なパートナーに出会ってください。Retail’s Big Show Asia Pacific は、皆様の The Next Nowー次の時代に備えるための取り組みをお手伝いします。

主要トピック一覧

エージェント型AI & コマース:最新版AIの理解

今後の主要課題は、AI です。AIは、世界の構造そのものを一変させる可能性を秘めています。生成AIは、プロンプトに基づいて成果を生み出す段階から進化し、現在ではユーザーに代わって判断・計画・実行までを担う自律型エージェントAIへと発展しています。事前に設定された目標やタスクを達成するまで、AIが自ら行動することが可能になりつつあります。広く認知されていないために、一部では“魔法のよう”と形容されるほどの進化を遂げていますが、エージェント型AI の具体的な応用分野であるエージェント型コマースの導入がその理解を深めていくでしょう。エージェント型AI の機能をもつことによって、消費者のオンライン・ショッピングの体験が大きく変わり、ユーザーからの指示がほぼない状態で、最安値を見つけ出し購入まで行うことができるようになるのです。リテール企業におけるエージェント型AI の導入についての議論はこれからですが、この自立した機能により、倉庫管理から調達、サプライチェーンに至るまでを最適化できるでしょう。今後は、エージェント型市場の形成をはじめ、ビジネスエコシステムや工場経営など、あらゆる産業領域に波及していくと予測されます。その可能性は、まさに無限です。私たちは、この未来を注視していく必要があるでしょう。

AIが変えるリテールの未来:業界構造と組織の変革

この1年半で、AIとの対話は目覚ましい進化を遂げています。エージェント型AIは、機械学習の最新トレンドであり、今やAIは職種や部門の垣根を越えて、組織全体で活用される時代に入っています。単一のチームや部門がAIを導入して効率化を図るだけでは、もはや不十分です。モノリシックERPからマイクロサービス型スタックへの移行が進む中、AIの革新的な効果を最大限に享受するには、組織全体での取り組みが不可欠です。AIは何をもたらすのか。機を見て敏に動ける土台を築けているのか。それとも、変化への抵抗感が革新を妨げているのか──今こそ、その見極めが求められています。

収益化:データ、ロジスティクス、倉庫管理、フルフィルメント、リテールメディア

派手な革新ではありませんが、収益構造の再定義は今こそ注目すべきテーマです。リテール企業の収益源は、商品の販売だけにとどまりません。データ活用、物流サービス、倉庫管理、フルフィルメント、リテールメディアなど、多様な収益モデルが展開されています。ライセンス事業やパートナーシップ、コラボレーションを通じて新たな利益創出の機会が生まれ、アジア太平洋地域のリテール企業は、マージンの圧迫やコスト増加という課題に直面しながらも、収益化の可能性を模索しています。

リテール メディア:リテール企業における急成長中の収益基盤

リテールメディアは、デジタルコマースの“第3の波”として注目を集めています。2016年に登場して以来、わずか9年で年間収益は300億ドルに迫り、eコマースがこの規模に達するまでに20年以上、SNSでも16年を要したことと比べても、その成長スピードは際立っています。現在、世界のリテールメディア市場の約40%を米国が、37%を中国が占めており、日本・韓国・インドネシアを含むアジア太平洋地域にも、デジタル環境・マーケティング戦略・エンゲージメント戦術の変化を促す大きな成長機会が広がっています。リテールメディアは、収益化の高度化、精緻な分析、そして事業予測の革新を可能にする新たなプラットフォームとして、今後のリテール戦略において欠かせない存在となるでしょう。

事業運営コスト:人件費、物流、法規制対応

インフレが世界的に深刻化する中、アジア太平洋地域でもサプライチェーンのコストは上昇を続けています。さらに、テクノロジーやAI分野では、人材のスキル格差が採用コストの高騰を招いています。一方、企業統治や持続可能性、気候変動への対応をめぐる法規制は、オーストラリアやベトナムをはじめ、各国でコンプライアンス基準の強化につながっています。こうした複合的な課題に直面する中、リテール企業は常に難しい選択を迫られています。売上拡大を優先すべきか、支出の統合を急ぐべきか。リスクを取るべきか、利益率と競争力のバランスをどう保つか──事業運営に関わるコストについて模索します。

アジア太平洋地域における市場の多様性を読み解く:プラットフォーム、UX、トレンドの動向

アジア太平洋地域の多様性は、課題ではなく、むしろ市場の豊かさを示す特性です。とはいえ、この変化に富んだ地域では、プラットフォーム設計やユーザー・エクスペリエンス、最新技術の受容において、文化とアルゴリズムの間に大きな差異が生まれます。たとえば、Amazonと東南アジアのShopeeを比較すると、ショッピング体験における優先順位の違いが明確に表れます。こうした違いは、国・言語・収入レベル・商品カテゴリなど、消費者行動のあらゆる側面に影響を及ぼしています。さらに、アルゴリズムやAI、テクノロジースタックの進化のペースが国ごとに異なることで、検索や発見の体験に混乱が生じています。ブランドは今、SEO(検索エンジン最適化)だけでなく、GEO(生成エンジン最適化)にも目を向け、ChatGPTのようなLLMを活用して新規顧客の獲得に挑んでいます。
このような状況の中で、以下のような問いが浮かび上がるので、考えてみましょう。
- 新しいブランドや製品は、どのようにして顧客と出会うのか?
- 消費者は、次のトレンドを見つける方法を自ら選べているのか?
- アジア太平洋地域を理解することは、アルゴリズムの壁を越える鍵となるのか?

デジタル化の融合:決済、ゲーミフィケーション、ロイヤルティ施策

1つのアプリで1つの機能だけに対応する時代は、すでに終わりを迎えています。基本の考え方はシンプルです──顧客が企業のプラットフォームで過ごす時間が長ければ長いほど、収益は上がるのです。その結果、食事の注文、食料品の購入、家電の分割払いの申し込みまで、すべてを1つのアプリで完結できるようになりました。毎日チェックインしてポイントを貯めたり、将来の割引を目指してミニゲームを楽しんだり、ブランド体験とクーポンが連動する仕組みも登場しています。こうした体験は、今や「スーパーアプリ」と呼ばれる統合型プラットフォームで実現可能です。特に東南アジアでは、QR決済の急拡大とともに、これまで分断されていた機能が1つに統合されつつあります。リテール業界では、これからどんなデジタル体験が生まれていくのでしょうか──その未来を探ります。

アジア太平洋地域のデジタル格差:オムニチャネルとエコシステムのギャップを埋めるために

アジア太平洋地域のオンラインショッピングは、世界でも屈指の機能性を誇るリテール体験へと進化しています。特に東南アジアでは、QR決済などの革新的技術が急速に普及し、新機能の市場投入において先進国を凌ぐ勢いを見せています。一方で、オムニチャネル・リテールの整備は、米国などに比べて遅れが見られます。洗練されたオンライン体験と、実店舗でのブランド接点との間には大きな乖離があり、統合されたシームレスなショッピング体験の欠如は、顧客のロイヤルティや収益性向上の取り組みに影響を及ぼしています。多くの企業が依然としてオンラインとオフラインを分断したまま運営しており、業界を横断した実用的な知見の共有にも課題が残ります。とはいえ、見通しは明るいと言えるでしょう。アジア太平洋地域のリテール企業は、優れたオムニチャネル体験の構築に向けて、必要な要素を模索し始めています。

e コマースの見えないコスト

韓国では、全小売取引の50%がオンラインで行われています。インドでは、携帯電話の充電器が注文から10分以内に届くこともあります。フィリピンでは、e コマースで購入した商品の返品・交換が法律で禁じられており、マレーシアやシンガポールのShopeeでは、理由を問わず15日間の返品が保証されています。消費者にとっては利便性の高い体験ですが、こうした“見えないコスト”は十分に議論されているとは言えません。特にアジア太平洋地域でe コマースを導入する企業にとって、配送や返品処理、再販のための回収などにかかる費用は、導入の真のコストとして重くのしかかります。
インドネシアやフィリピンなど、島や山岳地帯が多い国々では、物流面の課題が顕著です。顧客が求める「無料かつ迅速な配送」は、果たして持続可能なのでしょうか?
- インド以外の国で、クイックコマースは実現可能なのか?
- e コマースは今後も小売業を民主化し続けるのか?
- それとも、徐々に大手企業だけの領域となっていくのか?
今こそ、e コマースの実体を把握するタイミングかも知れません。

パートナーシップの力:アジア太平洋地域を共に歩むために

世界は今、地政学的な課題に直面しており、1980年代の冷戦以来、緊張が高まっています。アジア太平洋地域の多くのリテール企業にとって、事業拡大・成長・収益性は依然として揺るぎない目標であり、新たな顧客やパートナーを求めて、域内外に目を向ける動きが加速しています。このような変化の中、協業は重要な鍵となっています。多くの企業は、同業他社を単なる競争相手ではなく、志を共有するパートナーとして捉え始め、ライセンス供与、マーチャンダイジング、製品のクロスオーバーなど、新たな収益モデルが次々と生まれています。合弁事業そのものは目新しいものではありませんが、アジア太平洋地域のリテール企業は、世界的なショックから自らを守るために、この協業のコンセプトを新たなレベルへと進化させる可能性を秘めています。

ハイパーエクスペリエンス主義:感情的な没入感のある体験型ブランディングの復活

新型コロナによる世界的な封鎖から5年。アジア太平洋地域では、リテール業界が再び活気を取り戻しつつあります。各国の巨大ショッピングモールは、インスタ映えするテーマパークのような空間と並び、リテールツーリズムの目的地として注目を集めています。ブランド各社は、近未来の店舗体験を独自に解釈し、他では味わえない魅力的な購買体験を提供しています。レイアウト、装飾、デザインなど、あらゆる要素が綿密に設計され、感情に訴える体験価値が重視されています。消費者が購入時に求めるのは、単なる利便性ではなく、心に残る没入型のブランド体験。リテール業界は、感情に触れるタッチポイントを活用し、ブランドとの深い関係性を築こうとしています。この傾向は、今後も続いていくのか?それとも、一時的なブームとして消えてしまうのか?もしくは、リテールの未来を形づくる新たなスタンダードとなるのか探ります。

越境EC:複雑さの本質を探る

アジア太平洋地域における文化・言語・法制度の多様性は、新たな市場を模索するリテール企業にとって、複雑な障壁となっています。ジョホールバルとシンガポール、深圳と香港など、国境に隣接する都市間の商業活動では、消費者が常に“価値”を求めることで、状況はさらに入り組んだものとなっています。新たな地域への事業拡大を目指す企業は、どのような選択をすべきなのでしょうか?
- 完全なパートナーを探すべきか
- 流通代理店との連携を優先すべきか
- 単独での展開を目指すべきか
- 現地拠点の設置がブランドイメージに影響するのか
こうした問いは、競争と協働のはざまで繰り広げられています。
今、そしてこれからの市場環境は、すべてのリテール企業にとってどのような意味を持つのでしょうか──その答えを探ります。

顧客の信頼を維持するために:不正対策・信頼格差の解消・顧客体験の再設計

リテール業には常にリスクが伴いますが、特にオンライン取引が急増する現在、そのリスクはさらに高まっています。一般消費者のサイバーセキュリティ対策は依然として不十分であり、詐欺や不正行為、AIの非倫理的な活用が懸念を生み、偽造品や偽の販売業者の存在が不信感をさらに増幅させています。こうした状況下で、リテール企業・販売業者・プラットフォームは、信頼を守るために十分な対策を講じていると言えるでしょうか。
- より厳格なセキュリティプロトコルの導入が必要なのか?
- 消費者教育の強化こそが改善への鍵なのか?
- トラストギャップを埋めるために、誰が主導すべきなのか?
顧客との信頼関係をいかに築き、維持していくか──その問いは、今後のリテール戦略において避けて通れないテーマです。

コンテンツ:新たな主戦場における進化と対立

コンテンツ革命は、常に進化を続けてきました。集中力の持続時間が短くなった現代において、コンテンツもそれに合わせて変化し、検索や参照よりもショート動画を優先する消費者が増えています。
ユーザー生成コンテンツやインフルエンサーのエコシステム次第で、製品の寿命が瞬時に終わる可能性すらある時代。ホワイトペーパーはTikTokトレンドに取って代わられ、詳細なレビューはリールサイズのハイライト動画へと変化しています。スピードを維持するために、コンテンツマーケティングは「生成」へとシフトし、AIの活用をめぐって、一般ユーザーや従来のクリエーターからの反発も生まれています。現在のコンテンツ環境は、エンゲージメント戦略、AI活用の倫理、消費者行動の変化など、広範な議論の主戦場となっています。この主戦場からリテール分野におけるコンテンツの未来を探ります。

アジア太平洋地域における未来の消費者像

Z世代の台頭により、アジア太平洋地域の消費者構造は大きく変化しつつあります。多くの若年層が拡大する中流階層に加わり、購買力が向上。リテール業界における彼らの影響は、ますます顕著になっています。彼らは、ブランドよりもアルゴリズムに信頼を置き、「価値」の定義そのものを変えようとしています。価格だけではなく、感情的に没入できるブランド体験、カスタマーエクスペリエンスの質、そして一方的な広告ではなく、対話が始まること──それが重要なのです。また、検索行動も変化しています。特定のキーワードではなく、文章や文脈から“発見”につながるプラットフォームを活用する傾向が強まっています。このようなパラダイムシフトの中で、リテール企業はどのように価値を再定義し、未来の消費者と向き合っていくべきなのでしょうか。
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